🇫🇷 ラングドック・ルーション地方(Languedoc–Roussillon)

🗺 プロフィール(概要)
フランス南部、地中海沿岸に広がる最大級のワイン産地。
ローヌ川を挟んで東隣にプロヴァンス地方を持ち、
ガール、エロー、オード、ピレネー=オリアンタル、ロゼールの5県から成る。
かつては低価格ワインの大量生産地だったが、1980年代以降は品質向上へと大きく転換し、
現在ではフランス全体のIGPワインの約80%を生産する一大産地となっている。
広大な面積と多様な地形・土壌・気候に恵まれ、AOCの増加や有機栽培の拡大も著しい。
ルーションはピレネー条約(1659年)でカタルーニャからフランスに割譲された地域で、
今も日常的にカタルーニャ語を話す人々が多い。
ラングドックは「オック語(langue d’oc)」の名を由来とする、南仏らしい文化圏を形成している。
☀️ 気候と風土
• 典型的な地中海性気候:冬は温暖、夏は暑く乾燥。
• 降雨は冬に集中。
• トラモンターヌ(Tramontane):ピレネー山脈から吹く乾いた冷風。
→ 病害リスクを低減し、健全なブドウを育む。
• 西部ではやや海洋性気候の影響も。
• 地中海沿岸部は石灰岩やガリッグ(低木林)地帯、
中央山塊・ピレネー山脈が背後にあり、土壌は多様。
⸻
🌱 土壌と栽培
• 石灰質・粘土石灰質・頁岩など多様。
• 有機栽培率が非常に高い地域:約22,000ha(仏全体の1/3、世界の7%)。
• CIVL(ラングドックワイン委員会)が統括。
⸻
🍇 主なブドウ品種
白ブドウ
• グルナッシュ・ブラン
• ヴェルメンティーノ(ロール)
• ブールブーラン
• マルサンヌ、ルーサンヌ
• モーザック(リムーでスパークリング)
• ピクプール(AOCピクプール・ド・ピネで有名)
黒ブドウ
• グルナッシュ
• シラー
• ムールヴェードル
• カリニャン
• サンソー など
🍷 ワインの特徴
• 果実味豊かで太陽を感じる濃厚な味わい。
• スパイス香・ハーブ香(ガリッグ)を伴う。
• IGP(旧ヴァン・ド・ペイ)ワインが全体の70%以上。
→ フランス全体のIGPの約80%を占める。
🏅 主なAOC
ラングドック地方
• Languedoc(広域AOC)
• Pic Saint-Loup
• Terrasses du Larzac
• Picpoul de Pinet
• Faugères
• Saint-Chinian
• Corbières
• Minervois
• Limoux(Méthode Ancestrale, Blanquette, Crémant de Limoux)
ルーション地方
• Côtes du Roussillon
• Côtes du Roussillon Villages
• Collioure
• Maury
• Banyuls
• Banyuls Blanc / Grand Cru
• Rivesaltes
• Muscat de Rivesaltes
(※モーリー、バニュルス、リヴザルトはVDN=Vin Doux Naturel(天然甘口ワイン))
🍽 郷土料理とペアリング
• ブランダード(タラとジャガイモのオーブン焼き)
• ブーリット、セート風ブイヤベース、ルイユ添え
• ガルディアンヌ・ド・トロ(カマルグ産牛の煮込み)
• カスレ(白インゲン豆と鴨コンフィ、豚肉、ソーセージの煮込み)
→ 濃厚でスパイシーな赤ワインと好相性。
→ 白はリムーの泡、ピクプール・ド・ピネなどが魚介料理に合う。
🧭 まとめポイント(検定対策)
|
覚えるべき事項 |
内容 |
|
位置 |
南仏地中海沿岸、プロヴァンスの西隣 |
|
県 |
ガール、エロー、オード、ピレネー=オリアンタル、ロゼール |
|
歴史 |
ラングドック=13世紀王領化、ルーション=1659年ピレネー条約で仏領 |
|
気候 |
地中海性(トラモンターヌ風) |
|
特徴 |
フランス最大のIGP生産地(全体の約80%) |
|
品種 |
黒:グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル 白:グルナッシュ・ブラン、ピクプールなど |
|
代表AOC |
ピクプール・ド・ピネ、サン・シニアン、ミネルヴォワ、コルビエール、リムー、バニュルス、リヴザルト等 |
|
郷土料理 |
カスレ、ブランダード、ブーリットなど |
