🇮🇹 シチリア州(Sicilia)

📍位置と地理
• 地中海最大の島であり、イタリア最大の州。
• 地中海の中心に位置し、古代より多くの文明が交錯した文化の十字路。
• **エトナ山(標高3,343m)**が島のシンボル。

• 古代ギリシャ・ローマ時代の神殿が残るシラクーザ、アグリジェント、セジェスタなど歴史都市が点在。
• 地形は丘陵・山岳地帯が多く、北東にエトナ火山、北にシチリア・アペニン山脈。

🌤気候
• 全体的に地中海性気候。
• 南西部はアフリカの影響を受け、サハラからの熱風「シロッコ(Scirocco)」が吹く。
• 北側(ティレニア海沿岸)は比較的穏やか。
• 日照量が多く乾燥しているため、病害が少なく有機栽培に向く。
🍊特産物
• ブラッドオレンジ(タロッコ)
• パキーノトマト(IGP認定)
• オリーブ・アーモンド
• 世界的に有名な柑橘類と甘味文化の宝庫。
📜ワイン史
• 古代より「ヴィティス・ヴィニフェラ」がギリシャからシチリアを経由してヨーロッパ全土に広がったとされる。
• 戦後は大量のバルクワイン供給地として知られたが、
1990年代以降、品質志向の中規模ワイナリーが台頭し世界的ブームを牽引。
• 2000年代以降はテロワール表現型ワインが注目され、特にエトナ・パキーノ・パンテッレリアが世界的評価を受けている。
🍇主要ブドウ品種
白ブドウ
• カタラット(Catarratto):栽培面積最大、ふくよかでアルコール感強め。
• インツォリア(Ansonica/Inzolia):フローラルで柔らかい香り。
• グレカニコ(Grecanico):爽やかな酸とフルーティーさを併せ持つ。
• カルリカンテ(Carricante):エトナ固有品種、酸味が強くミネラル感豊か。
• モスカート・ディ・アレッサンドリア(Zibibbo):芳香高く、パンテッレリア島の甘口ワインに使用。
黒ブドウ
• ネーロ・ダーヴォラ(Nero d’Avola):州を代表する黒ブドウ。力強く濃厚な赤。
• ネレッロ・マスカレーゼ(Nerello Mascalese):エトナの代表品種。色調は明るく、酸とタンニンが強い。
• ネレッロ・カップッチョ(Nerello Cappuccio):ネーロ・ダーヴォラとブレンドされ軽やかで花の香りを添える。
🏷主なDOCG/DOC
DOCG
• Cerasuolo di Vittoria DOCG(チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア)
• ネーロ・ダーヴォラ+フラッパートのブレンド。
• 果実味豊かで丸みのある赤ワイン。
主要DOC
• Alcamo DOC:カタラット主体の白ワイン。
• Etna DOC:エトナ火山の火山灰土壌に由来するミネラル豊かなワイン。
• Marsala DOC:酒精強化ワイン。1773年、英国人ジョン・ウッドハウスにより確立。
→ マデイラ・ポート・シェリーと並ぶ世界三大酒精強化ワインの一つ。
• Moscato di Pantelleria DOC:モスカート・アレッサンドリアから造られる芳香甘口ワイン。
🍽郷土料理
• アランチーノ(Arancino):ライスコロッケ。
• カポナータ(Caponata):ナスと野菜の甘酢煮、シチリア版ラタトゥイユ。
• パスタ・コン・レ・サルデ:イワシ、松の実、レーズン、フェンネルのパスタ。
• インヴォルティーニ・ディ・ヴィーテッロ:仔牛肉の詰め物トマト煮。
• 魚介のクスクス(西シチリア)。
• デザート
– カッサータ:スポンジ+リコッタ+アーモンドペーストのケーキ。
– カンノーロ:リコッタとフルーツを詰めた筒状の揚げ菓子。

💡まとめポイント
• 地中海文明の交差点として発展した歴史と多様な土壌。
• 南イタリア最大のワイン生産地。
• ネーロ・ダーヴォラとカタラットが代表品種。
• エトナ火山のテロワールワイン、マルサラ酒、チェラスオーロ・ディ・ヴィットリアDOCGが特に重要。
• スパイスと甘酸味の効いた郷土料理と高い親和性を持つ。