🇫🇷 南西地方(Sud-Ouest)プロフィール

Duck legs confit with orange and salad on a white plate
📍地理・概要
• ボルドーの東から中央山塊、南はピレネー山脈まで広がる広大な地域
• フランス南西部一帯にワイン産地が点在
• フォアグラ、トリュフ、鴨、豚など、美食の宝庫としても有名
• AOCワインとIGPワインの生産量はほぼ同量
• ボルドーに近い産地はボルドースタイル、離れると土着品種主体の個性派ワイン
• この数十年で新世代生産者が品質向上を牽引
🕰 歴史
• 南西地方はボルドーより古いワイン造りの歴史を持つ
• カベルネ・フラン(原文では“カベルネノゾゼン”の誤記と思われる)がこの地で誕生
• 1152年:アキテーヌ公国のエレアノールがヘンリー2世と結婚
→ ボルドー港を経由したイギリスとの交易が活発化
• 南西地方のワインは「奥地のワイン(Vins de Haut-Pays)」と呼ばれ、
ボルドー港に遅れて運び込むよう義務付けられた
• ガイアックはヘンリー3世がイギリスへ20樽送らせた記録
• クレマン5世がコート・ド・ルラのワインを愛飲
• ジュランソンはアンリ4世の洗礼式で使用された
🍇 気候・地形
• 大西洋性〜地中海性まで幅広い気候帯
• ブドウ畑はボルドー川、ガロンヌ川、ロット川、タルン川、ピレネー麓などに点在
• 土壌・標高差・日照量により産地ごとに多様な個性が生まれる
🍷 主な白ブドウ品種
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品種名 |
主な産地 |
特徴 |
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モーザック (Mauzac) |
ガイアック |
厚みと果実味、スパークリングにも使用 |
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プティ・マンサン (Petit Manseng) |
ジュランソン、ピレネー地区 |
濃厚で香り高い甘口ワインに最適 |
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グロ・マンサン (Gros Manseng) |
ジュランソン、ピレネー地区 |
フレッシュで酸味のある辛口にも用いられる |
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セミヨン/ソーヴィニヨン/ミュスカデル |
ベルジュラック |
ボルドーに近いブレンドスタイル |
🍇 主な黒ブドウ品種
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品種名 |
主な産地 |
特徴 |
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タナ (Tannat) |
マディラン、ピレネー地区 |
色濃くタンニン豊富、長期熟成型 |
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コット(マルベック) |
カオール |
濃厚で果実味豊か、滑らかなタンニン |
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ネグレット (Négrette) |
フロントン |
花の香りを持つ個性的アロマ |
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カベルネ・ソーヴィニヨン/メルロー |
ベルジュラックなど |
ボルドーと近いスタイル |
🍷 主な地区とAOC
◾️ ベルジュラック地区(Bergerac)
• ボルドーの東、ドルトーニュ川沿い
• 主なAOC:ベルジュラック、モンバジャック(甘口)
• 品種構成:ボルドー系(メルロー、カベルネ、セミヨン等)
◾️ ガロンヌ地区(Garonne)
• ガロンヌ川沿い、トゥールーズ周辺
• 主なAOC:フロントン(ネグレット主体)、ブリュール、コート・ド・ディエール
◾️ 中央山塊地区(Massif Central)
• タルン川・ロット川流域、アルビやカオールなど中世都市が点在
• 主なAOC:ガイアック、カオール
• 特徴:マルベックやモーザックを中心とした伝統的産地
◾️ ピレネー地区(Pyrénées)
• ピレネー山脈麓から南西部にかけて
• 主なAOC:マディラン、パシュラン・デュ・ヴィック・ビル、ジュランソン、イルレギ
• 特徴:タナ、プティ・マンサン、グロ・マンサンなど、力強く香り高いワインが多い
🍴 郷土料理・美食文化
• 鴨のコンフィ(Confit de Canard)

• カスレ、ピペラード、バスク風鶏料理
• ガルビュール(キャベツと豆、鴨のスープ)
• フォアグラ(ペリゴール産)、黒トリュフ(サルラ産)
• バイヨンヌ生ハム、キントア豚など、AOP食材多数
✨まとめ
• 多様性こそ南西地方の魅力
• 土着品種が多く、地域ごとに個性が異なる
• 古い伝統と新しい造り手が融合し、今後ますます注目の産地