テーマは「ダオン」。改めて、ポルトガルワインの多層性とダオンの知性を実感しました。
🌊 ポルトガルワインの全体像
• 大西洋寒流の影響を強く受ける海洋性気候。冷涼さはチリやカリフォルニア沿岸とも共通するが、アルコール度数は上がりにくい。
• 土着品種は 300〜400種に及び、伝統的に複数品種を混植・混醸。結果として単一品種主義の国々とは対照的に、複雑性とバランスを重視したブレンド文化を形成。
• 品種単位で理解するよりも、産地特性・生産者哲学からアプローチするのが最適。
📈 トレンドと回帰
1. 古木・混植混醸の再評価
樹齢50年以上の畑が各地で見直され、複雑性・奥行きを再提示。
2. 伝統的醸造法への回帰
• Lagar(石槽での足踏み発酵)
• Talha(アンフォラ発酵)
• Curtimenta(スキンコンタクト/オレンジワイン)
• Palhete(赤白混醸ワイン)
近年は1990年代の国際品種導入期を経て、再び土着品種と伝統様式への回帰が顕著。
🏔 ダオンのテロワール
• 標高400〜800mの盆地地形、冷涼で降水量が多い(年間1000mm超)。
• 土壌は花崗岩(Granite)主体で、酸・ミネラルの骨格を形成。
• ブドウ畑は森の中に点在(松・ユーカリの林に囲まれ、山火事リスクも高い)。
• サブリージョンは7つ。中でも Serra da Estrela は古木・高標高・岩質の好条件から特に高評価。
🍇 ダオンの新しい潮流
• 伝統的ブレンドに加え、1990年代以降は単一品種への理解も深化。
• 注目品種:
• Encruzado(白、Chardonnay的なニュートラルさと柔らかい酸)
• Alfrocheiro(赤、酸とストラクチャーに優れる)
• Tinta Pinheira(軽快でガメイ的キャラクター、魚介との相性抜群)
• Mencía(Janeと表記されることも)は適応性が高く拡大中。
🍷 テイスティング・インプレッション
1. Encruzado(白)
柔らかな酸、フローラルで華やか。樽の使い方が巧みで13%。
2. Touriga Nacional 2015(赤)
赤系果実、ジューシーでまとまりのある質感。ボルドーグラスで。
3. Tinta Pinheira
ハーブ香と軽快なタンニン、梅や紫蘇を想起させ、川魚との相性が秀逸。
📝 所感
ポルトガルは「Master of Blend」と称されるほどのブレンド技術と、古木や伝統醸造の再評価によって独自の進化を遂げています。
ダオンはその中でも、知的で繊細なワイン産地として今後さらに注目すべきエリアだと再認識しました。
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