フェラーリ セミナー備忘録(シリル・ブラン氏講演要点)

2026/07/15


フェラーリ セミナー備忘録(シリル・ブラン氏講演要点)

1. シリル・ブラン氏について

  • シャンパーニュで約25年間(ヴーヴ・クリコなど)醸造に従事。
  • 2023年にフェラーリ(トレントDOC)のワインメーカーに就任。
  • フェラーリを選んだ理由は、「トレンティーノの山岳テロワール」と「フレッシュさ・純粋さ・垂直的な酸(Verticality)」に魅了されたため。

2. トレンティーノのテロワール

シャンパーニュとの違い

  • シャンパーニュ:土壌(チョーク=白亜質)が複雑さを生む。
  • トレンティーノ:複雑さは土壌ではなく、マイクロクライメート(微気候)から生まれる。

主な要因

  • 標高250~700m
  • 山岳地帯
  • 谷の位置
  • 湖の影響
  • 昼夜の寒暖差

山岳地帯最大のメリット

山のバッファ効果によって

  • ブドウがゆっくり成熟する
  • 酸が保たれる
  • フレッシュさが維持される
  • 温暖化の影響を受けにくい

3. フェラーリの畑

  • 全畑100%オーガニック認証
  • 乾燥した冷涼気候で病害が少ない
  • 約95%がシャルドネ
  • 約5%がピノ・ノワール

ペルゴラ仕立て

  • 日照を十分受ける
  • 果実が均一に成熟
  • 収穫しやすい

4. コカール社最新プレス機導入

目的は

収量アップではなく品質向上。

特徴

  • 圧力をより精密にコントロール
  • 果皮・種から不要成分を抽出しない
  • デポジット(沈殿物)が大幅に少ない
  • 非常に透明感のある果汁

シリル氏の言葉

「良いブドウを正しく搾れば、その後に修正する必要はない。」

5. フェラーリ・ブリュット

  • 100%シャルドネ
  • ブラン・ド・ブラン
  • ステンレスタンク発酵
  • マロラクティック発酵もステンレス
  • 一次発酵とMLFの間はラックキング(澱引き)しない

ブレンドに使う標高

約400m

理由

  • 長期熟成に必要な酸を確保できるため

6. リザーブワイン

シャンパーニュ

→ ヴィンテージ差を補正

フェラーリ

→ ヴィンテージ差補正ではない

目的

  • クリーミーさ
  • テクスチャー
  • 複雑さ

7. ドサージュ

シリル氏の考え

重要なのは

糖分量ではなくリキュールの中身。

40年前

12〜15g/L

現在

糖分量は減少

その分

リキュールを構成するワインの役割が非常に重要になった。

ドサージュ量

Brut・Maximum

約6〜7g/L

Blanc

約4〜5g/L

Rosé・Giulio

さらに約2g少ない

8. 熟成ワインとドサージュ

古いヴィンテージで

0g

1g

2g

3g

を比較。

毎回

ゼロ・ドサージュが最下位。

理由

  • バランスを失う
  • デゴルジュマン後の酸化ショックを補えない

シリル氏

「少量の糖分はワインにとってFuel(燃料)、Energy(エネルギー)」

9. フェラーリ・ロゼ

構成

約2/3 ピノ・ノワール

約1/3 シャルドネ

ピノ・ノワールの半分

→ ブラン・ド・ノワール

残り半分

→ 約10〜12時間マセレーション

特徴

  • 淡い色調
  • 繊細なタンニン
  • フレッシュな赤系果実

現在

ブルゴーニュ・ジュラ地方から新しいクローンを導入し研究中。

10. リゼルヴァ・ルネッリ

2002年初ヴィンテージ

100周年記念キュヴェ

特徴

オーストリア

ストッキンガー社製大型樽

樽の目的

  • 樽香ではない
  • 複雑さ
  • トースト
  • スモーキーさ
  • バニラ
  • スパイス

樽熟成するワイン

最も酸が高いロット

理由

樽熟成でワインが柔らかくなるため。

11. ストッキンガー樽

40基所有

非常に入手困難

シリル氏

「ロレックスを買う方が、この樽を買うより簡単。」

12. ジュリオ・フェラーリ

正式名称

Giulio Ferrari Riserva del Fondatore

最も簡単に造れるワイン

理由

醸造は非常にシンプル

  • ステンレスタンク
  • 還元的醸造

品質は

畑が決める。

使用畑

Maso Pianizza

特徴

  • 西向き斜面
  • 午後の日照
  • 独自の成熟

13. チョーキーという表現

シリル氏

昔は

“Chalky”

と書いてしまった。

しかし

トレントには

チョーク土壌は存在しない。

現在は

“Minerality”

という表現を使用。

14. ジュリオは毎年造らない

品質が十分でない年は造らない。

見送った年

  • 2013
  • 2014

15. AI活用

大学

  • ウディネ大学
  • パドヴァ大学

と共同研究。

目的

AIが作るブレンド

vs

人間が作るブレンド

を比較し

新しい視点を得ること。

16. 将来のプロジェクト

  • リザーブワイン専用セラー建設
  • 約12,000hL増設
  • データベース構築
  • AI活用
  • 標高の高い新しい畑の開拓
  • 温暖化への対応

一番印象に残ったシリル氏の言葉

「品質は、後から直すものではない。最初の工程ですべてが決まる。」

「山のバッファ効果が、フェラーリのフレッシュさと垂直的な酸を生み出している。」

「少量の糖分は、ワインにとって燃料(Fuel)、エネルギー(Energy)である。」

「ジュリオ・フェラーリは醸造技術ではなく、畑が造るワインである。」

「ロレックスを買う方が、ストッキンガーの樽を買うより簡単だ。」

この5つは、今回のセミナー全体を象徴するキーワードとして特に印象に残りました。

一覧に戻る

Access

〒411-0943 静岡県駿東郡長泉町下土狩756−14TEL055-950-8830
新幹線三島駅よりタクシーで約5分

Reserve

ご予約・お問い合わせはこちら

予約ページへ

ティーペアリングは抽出にお時間をいただくため、
前日20時までのご予約とさせていただきます。
前日AM9:00以降のキャンセルは100%料金を頂戴いたします。

当日のご予約はお電話にて承ります。お電話 055-950-8830