ボルドーワイン会予習編②
Chateau d’Escurac 2012
A.O.C. Médoc
シャトー・デスキュラック AOC メドック
クリュ・ブルジョワ最高峰!
「ジロンドのワインの格付けにおいて、私達はペパン氏のデスキュラックを5級シャトーの中に含めたい。たとえ当主がシャトーの格付けをボン・ブルジョワ(良いクリュ・ブルジョワ)におさえておきたいと願ったとしても、私達はこのシャトーが5 級に値すると考えている。」
1839 年にジロンド県のワイン畑専門誌ル・プロダクチュールが掲載したこの記事は、例え当時の格付けが今と同じような価値を持ず、「メドック・ブルジョワ・シュペリュール以上の品質である」という意味に過ぎなかったとしても、シャトー・デスキュラックのテロワールがいかに優れているかということが昔から認知されていたことを示しています。
デスキュラックの畑はメドックで一番標高の高い場所の1つに位置しており、周囲のブドウ畑を見下ろしています。
土壌は奥深くまで砂利質で、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に特に理想的です。ブドウ栽培はリュット・レゾネ(減農薬)方式で行い、伝統と最新技術を融合させたワイン作りを実践しています。
ワインは、通常はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロ半々のブレンドで、赤果実や森の下草を思わせるアロマを持ち、シルキーなタンニンを湛えたクリーンでエレガントな味わいが感じられます。独特の個性が光る洗練されたスタイル
は、第 15 回クリュ・ブルジョワ杯(1996VT)で金賞に輝いた経歴を持ちます。収穫年から 3~10 年が飲み頃です。
■テクニカル情報■ 産地:ボルドー/ジロンド川左岸/メドック中央部シヴラック村(AOC メドック) 畑面積:23ha
格付け:クリュ・ブルジョワ [2003 年にブルジョワ・シュペリュールに格上げ] 当主:ジャン・マルク・ランデュロー
品種:メルロ 70%、カベルネ・ソーヴィニヨン 29%、カベルネ・フラン 1% 平均樹齢:26 年 平均収量:40~50hl/ha
土壌:白亜・粘土を砂利が覆う 植樹密度:5000 株/ha 収穫:機械での収穫。選果は畑とセラーの両方で実施
醸造:ブドウは除梗・破砕し、温度管理されたステンレスタンクを使用し 6~7℃で 6~10 日間マセラシオン。1日2回
ルモンタージュとピジャージュを行い、果帽を沈めながら 3~4週間かけてアルコール発酵させた後、樽に移し替えてマロラクティック発酵。新樽率 30~45%のオークの樽で 12 ヵ月間シュールリー熟成。毎年、樽の 3 分の 1 は新樽に入れ替え。卵白で清澄。無ろ過で瓶詰。
■相性料理■ グリルした肉や肉のシチュー、独特の風味を持つチーズなどと抜群の相性です。
■2012 ヴィンテージ■ 湿気の多い冷涼な冬の影響で開花は不均一となり、収穫量が減少。その後、雨のない乾燥した気候が長く続き、水不足で結実にもばらつきが出ました。干ばつの後は、9月後半から大雨に見舞われ、10月下旬まで続いたため、病害のリスクが高まり、一部の作り手は、湿潤な気候の下での収穫を強いられました。ボルドー地区の多くの作り手によれば、この年のワインは、総じてアルコール分は控えめで、やや硬質なタンニンが特徴。2012
年は、シーズン後半の湿潤な気候を相殺するために創意工夫を怠らず、収量を低く抑え、悪い実を除くべく厳しい選別を行うなどといった対処が出来ていれば比較的良質なワインが作れました。メルロは比較的出来の良い年で、カベルネ・フランにとっても良年でしたが、カベルネ・ソーヴィニョンは、作り手の判断を試される年となりました。
★パーカーポイント 86 点 #218 2015 年 4 月 30 日掲載 ロバート・パーカーJr. (飲み頃: 2015~2022 年)
一貫して見事な仕上がりのクリュ・ブルジョワ。2012 年は、深みのあるルビー・パープルの色合いを湛え、黒スグリや赤スグリの端正なアロマにスパイスや大地の香りが感じられ、やや小ぶりな後味を生む。今後 5~7 年間が飲み頃。
★ワインスペクテーター86 点/2015 年掲載 プラムやブラックベリーのしっかりとした硬質な果実のアロマに煙草や木炭の微かな香りが美しく溶け込んでいる。軽快でスモーキーなキレのある味わいが余韻の長い柔らかな後味を生む。今が飲み頃。生産量 8000 ケース。
★ジェームズ・サックリン 87-88 点/2013 年 4 月 20 日掲載ベリーやチェリーを思わせる良質な果実味。味わいはフルボディで、ヴェルヴェットのようなタンニンを湛え、クリーンな後味が広がる。この年にしては非常に良い仕上がり。
★ワインエンスージアスト 86 点 円熟した魅惑的な果実味と茎っぽい(果梗のニュアンスが際立つ)タンニン湛えたスモーキーなワイン。フレッシュで、黒スグリを思わせるピリリとした酸が感じられる。円やかで丸みのあるワインで、短期間のうちに発展してゆく。2017 年以降が飲み頃。
★ジャンシス・ロビンソン 16/20 点 2019 年 9 月 26 日掲載(飲み頃:2018~2022 年) 中程度の濃淡を持つ、燻したようなガーネット色。魅惑的で複雑味のあるアロマは、フレッシュな果実味が豊かに感じられるが、成熟し始めた甘
いなめし皮の香りを併せ持つ。タンニンはしっかり溶け込んでいるが、ワインの味わいに輪郭を与えるのに十分な存在感を呈している。円やかだがフレッシュな味わい。今が飲み頃。渾身の力作ではないが、心地よさに満ちている。